小川工業株式会社
BIM活用が現場を変える精度向上とコスト削減を実現 こうした取り組みの成果もあり、社内のBIM活用は徐々に広がりを見せている。全社員約200人のうち、建築部、土木部、住宅部を含む約50人に対してArchicadの操作研修を実施。操作を体験した社員の中には、自らの現場でBIMを取り入れるケースも出始めている。平塚室長は「少しでも触れてみれば、その便利さが実感できる。現場で使おうという流れも自然に生まれてきている」と語る。 同社では、BIMの導入によって建築業務の進め方が大きく変わりつつあるという。たとえば、3Dモデルに情報を集約することで、パースを何枚でも切り出すことが可能となり、2D図面とパースを別々に作成する手間が不要となった。これにより、作業時間の短縮とコスト削減につながっている。 また、一箇所の修正がすべての関連図面に自動的に反映されるため、図面の整合性が高まり、修正漏れや手戻りといった非効率の防止にも効果を発揮。品質の安定やスムーズな現場対応にも寄与しているとみられる。 プレゼン資料の作成にもBIMモデルが活用されるようになり、提案内容を視覚的に伝える力が高まった。社内では、提案力の向上にもつながっているとの声もあり、BIMによる情報の可視化が営業活動を支援するツールとしても機能し始めている。 同社では、こうした取り組みを通じて、クライアントに対してより付加価値の高い建築を提供できる体制の構築を進めている。その環境は着実に整いつつあり、同社の競争力を支える重要な基盤となることが期待される。 さらに、グラフィソフトが提供する3Dモデルビューアーアプリ「BIMx」を活用することで、スマートフォンやタブレット上で誰でもArchicadの3Dモデルを閲覧できる。2D図面に比べて完成イメージが伝わりやすく、断面表示や視点の切り替えも自在なため、設計意図の共有や合意形成の円滑化にもつながっている。 グラフィソフトジャパンのマーケティングマネージャー・保土田氏は「BIM活用においては、専任担当者や専門部署を設けることが浸透の鍵となります。小川工業様も、そうした体制を整えられたことが、取り組みの着実な進展につながっているのではないでしょうか」と語る。「BIM導入により図面の整合性が高まり、手戻りなどの無駄なコストも削減できます。Archicadは業務の効率化、省人化、フロントローディングを実現し、建設業界が直面する課題解決に貢献する」とメリットをあげた。 小川社長は、「技術者・職人の不足が深刻化する中、省人化・省力化の実現こそが建設業経営の成否を左右する。BIMをはじめとした生産性向上技術の活用なしには、今後を乗り切ることはできない」と語る。 そして、「これからの建設業にとって、BIMは選択肢ではなく、前提となる技術だ」と、業界の未来を見据えた力強いメッセージを投げかけた。 東亜酒造 羽生蒸溜所ビジターセンター(2025年5月オープン) 計画過程におけるBIMの活用