
小川工業株式会社
所在地:埼玉県行田市
代表者:小川 貢三郎
創 業:1919年
業務内容:
- 土木工事・建築工事の設計・施工
- 生コン・アスコン・再生合材・再生路盤材の製造・販売
- 注文住宅建築・住宅リフォーム施工
- 一級建築士事務所
BIM活用が現場を変える
精度向上とコスト削減を実現
埼玉県建設業協会の会長を務める小川工業株式会社の小川貢三郎社長。
その小川社長が先頭に立ち、同社ではDXを積極的に推進している。建築部門におけるDXの中核にはBIMがあるが、同社が数あるBIMソフトの中から採用したのは、グラフィソフト社の「Archicad」だ。
社内でのBIM推進を担うのは、建築事業部BIM室の平塚健太郎室長。名刺には「小川工業はBIMを駆使し、建築の未来を創造します」と記されており、その姿勢どおり、社内教育に加えて社外での研修会でも講師を務めるなど、BIMの普及に取り組んでいる。
「2020年にBIMを導入した当初は、すべてが新しく、まさに手探りの連続でしたが、それでも“これは建築の現場を変える技術だ”という確信がありました」と平塚室長は振り返る。導入当初は、社内での理解や浸透に時間を要したというが、「まずは社外に向けて積極的に発信し、小川工業として本気で取り組んでいる姿勢を示すことで、BIMの必要性や可能性が徐々に社内にも伝わっていきました」と話す。
県内を代表する企業として社外への発信を続けたことが、結果的に社内への波及にもつながったとしている。
同社は昨年10月、敷地内に「OGAWA研修センター」を開設した。BIMをはじめとする建設技能の研修拠点として整備されており、社員教育のみならず地域への開放も視野に入れている。8月には県内の工業高校関係者がBIM研修のために訪問する予定で、ここでも平塚室長が講師を務める。社外からの関心の高まりが、社内の意識変化にもつながっているという。

BIMの取り組みを説明する小川社長と平塚室長
こうした取り組みの成果もあり、社内のBIM活用は徐々に広がりを見せている。全社員約200人のうち、建築部、土木部、住宅部を含む約50人に対してArchicadの操作研修を実施。操作を体験した社員の中には、自らの現場でBIMを取り入れるケースも出始めている。平塚室長は「少しでも触れてみれば、その便利さが実感できる。現場で使おうという流れも自然に生まれてきている」と語る。
同社では、BIMの導入によって建築業務の進め方が大きく変わりつつあるという。たとえば、3Dモデルに情報を集約することで、パースを何枚でも切り出すことが可能となり、2D図面とパースを別々に作成する手間が不要となった。これにより、作業時間の短縮とコスト削減につながっている。
また、一箇所の修正がすべての関連図面に自動的に反映されるため、図面の整合性が高まり、修正漏れや手戻りといった非効率の防止にも効果を発揮。品質の安定やスムーズな現場対応にも寄与しているとみられる。
プレゼン資料の作成にもBIMモデルが活用されるようになり、提案内容を視覚的に伝える力が高まった。社内では、提案力の向上にもつながっているとの声もあり、BIMによる情報の可視化が営業活動を支援するツールとしても機能し始めている。
同社では、こうした取り組みを通じて、クライアントに対してより付加価値の高い建築を提供できる体制の構築を進めている。その環境は着実に整いつつあり、同社の競争力を支える重要な基盤となることが期待される。
さらに、グラフィソフトが提供する3Dモデルビューアーアプリ「BIMx」を活用することで、スマートフォンやタブレット上で誰でもArchicadの3Dモデルを閲覧できる。2D図面に比べて完成イメージが伝わりやすく、断面表示や視点の切り替えも自在なため、設計意図の共有や合意形成の円滑化にもつながっている。
グラフィソフトジャパンのマーケティングマネージャー・保土田氏は「BIM活用においては、専任担当者や専門部署を設けることが浸透の鍵となります。小川工業様も、そうした体制を整えられたことが、取り組みの着実な進展につながっているのではないでしょうか」と語る。「BIM導入により図面の整合性が高まり、手戻りなどの無駄なコストも削減できます。Archicadは業務の効率化、省人化、フロントローディングを実現し、建設業界が直面する課題解決に貢献する」とメリットをあげた。
小川社長は、「技術者・職人の不足が深刻化する中、省人化・省力化の実現こそが建設業経営の成否を左右する。BIMをはじめとした生産性向上技術の活用なしには、今後を乗り切ることはできない」と語る。
そして、「これからの建設業にとって、BIMは選択肢ではなく、前提となる技術だ」と、業界の未来を見据えた力強いメッセージを投げかけた。
東亜酒造 羽生蒸溜所ビジターセンター(2025年5月オープン)
計画過程におけるBIMの活用

初期段階で形状や配置を検討するために作成したBIMモデル

素材や光の表現を加え、関係者との合意形成に活用した完成イメージ

BIMで検討された空間が実現した、実際の内観
Archicadの詳細情報はカタログをご覧ください
ー カタログと一緒にBIMユーザーの成功事例もダウンロードできます ー

- Archicad ユーザーの設計事例を紹介
- 設計時の裏話や、BIMの活用方法など掲載
- その年ごとにまとめられた事例をひとまとめに
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