
左から順に、TONKAN顧問の中村奨さん、東京TONKANの営業部代表・稲田侑加子さん、代表の川島功士さん、顧問の櫻本聖成さん。
TONKAN
就活イベントを運営するキャリア支援会社「株式会社キャリア・ナビゲーション」が発起人。
建築・土木系学生のためのコミュニティ。東京を皮切りに、大阪や名古屋、福岡、仙台、福島などにも拠点が増え、2025年12月には立川に東京2号店ができる予定。
現役学生による自主的な運営体制が特徴で、内装設計や施工も学生自らが行い、代表、副代表、SNS担当、経理、企画、営業など、それぞれの役割を学生たちが担っている。
https://const-career.com/tonkan
所在地:東京都文京区
設立:2022年
運営目的:
○大学を超えた学生同士のつながりをつくること
○建築・土木系学生のソフト習得、課題制作、情報交換を支援すること
○キャリア支援・就職活動の入口としての場を提供すること
学生たちによる、学生たちのための
コミュニティスペース「TONKAN」とは?
大学の講義や設計課題にとどまらず、自らの手で学びの環境をつくり出し、仲間と知識や技術を共有しながらキャリア形成まで見据える—。そんな意欲的な建築・土木系の学生たちが主体となって運営する拠点が、建築・土木系学生向けコミュニティスペース「TONKAN」だ。
この場所は、建築を学ぶ学生たちが必要な模型材料や印刷費を安価で購入できたり、大学では学べないソフトの技術を習得したり、他大学や学年が違う学生同士の交流を深めたりと、キャリアアップにつながる“学びの場”として、多岐にわたる活動を展開している。
TONKANが設立したのは2022年。当時、新型コロナウイルスの影響で、学生同士の交流や施工体験の機会が少なくなったことを受けて、建築土木に特化した就活支援サービス「コンキャリ」がサポートして立ち上げた。コンキャリの運営会社キャリア・ナビゲーションのオフィススペースの一部を学生たちに提供し、学生自らがDIYでその空間を整備したのがはじまりだ。
TONKANの名称の由来は、工具の「トン!」「カン!」という音。ものづくりの原点とも言えるこの音が、彼らの活動のシンボルとなっている。机を組み立て、壁紙を貼り、作業スペースを整えるところからスタートした彼らの活動が、やがて“学生たちが自習的に建築を学ぶ場所”として発展していくこととなる。


櫻本さんの講義は、一方的な座学ではなく、手を動かしながら学ぶワークショップ型。「“ソフトを使える人”になるのではなく、“建築を考えられる人”になるための道具としてArchicadを使ってほしい」と櫻本さん。
感覚的な操作性の高さが今の学生にフィット
学びの中心にあるBIMソフト「Archicad」
学生たちは毎年、SNSや口コミを通じて、新入生たちが自然に集まってくる。TONKANの活動の中でも、学生たちにとくに注目を集めているのが、建築BIMソフトArchicadを活用した学習会だ。意匠設計を志す学生を中心に人気を博しており、講座は東京・大阪・名古屋など各地のTONKANでも定期的に開催されている。
今回の講座を主導するのは、TONKANの顧問の一人であり、現在は建築系YouTubeチャンネル「archisoft-建築ソフト解説-」や、建築ビジュアライゼーション会社を運営する櫻本聖成(さくらもとせな)さん。櫻本さんは、学生時代に独学でArchicadを習得し、そのノウハウをYouTubeや講座でシェアするという形で活動を広げてきた。
「Archicadの一番の魅力は、“感覚的な操作性”です。ドラッグ&ドロップやマウス操作で部材を配置でき、2D図面も3Dモデルも同時に視覚的に操作できるため、CAD初心者でも扱いやすいUI設計。
また、部材を置くと自動で断面図や立面図が連動して生成されるため、“描いて終わり”にならず、実感を持って設計することができます。建築学生は皆、手描きの図面に慣れているので、まずツールひとつで平面・立面・3Dが一括反映される便利さに驚きます。作業が効率化される分、設計作業にも集中できるんです」
そう櫻本さんは説明する。現在、彼が講師を務める講座は、Archicadのショートカットの導入から具体的なツールの使い方まで網羅した内容だ。櫻本さんの講座だけでなく、TONKANで開催されるこうしたイベントへの参加はすべて無料。学生たちは大学帰りにPCを持参してこの場所に立ち寄り、必要なソフトをダウンロードして、実践形式で学んでいる。
現在、Graphisoft認定パートナーでもある櫻本さんは、Archicadの導入支援も行う。「学生のネットワークの中で自然とソフトが広まり、スキルが循環していく。その中心にArchicadがある。私たちの製品が“将来のプロ”たちにとって実用的なツールとして機能していることを、改めて感じています」と語る。
人と人とのつながりが
キャリアを育て、未来をつくる
TONKANの真価は、単にソフトの使い方を無料で教わる場所であるとか、模型材料やプリンターを安く使える場所だということにとどまらない。ここで得られる一番のメリットは、“人と人とのつながり”にある。それについて、東京TONKANの代表である川島功士(かわしまこうじ)さんはこう語る。
「わからないことがあったら、すぐに先輩に聞けるのがいい。SNSで調べるよりも断然早くて、的確です。リアルに会って話すからこそ、言語化できない部分まで教えてもらえます」
TONKANが主催するイベントでは、Photoshop、Twinmotion、AI講座など、Archicad以外のソフトの使い方も学生同士で教え合うこともあれば、建築巡りやバーベキュー大会などの交流会も実施する。
「建築を真ん中に置きながら、“人と人がつながる”ことが学びの質を高めています」
と川島さん。こうした環境は“便利な場所”という価値を超え、建築業界での未来を見据えたキャリア形成にもつながっている。TONKANの活動に運営として参加していた学生たちは、それぞれ就職や大学院進学の道へと進んでいくが、ここで得たネットワークと経験を“実務に近いインターン”として評価している。東京TONKAN営業部代表の稲田侑加子(いなだゆかこ)さんは、大型出力紙のプリントをきっかけに初めてここへ来て、そのまま運営メンバーになった一人だ。
「運営に関わる学生たちは、予算配分や協賛企業との交渉、広報戦略、イベント運営など、まるで企業経営のような経験を積むことができます。机上の学びを超えた“社会につながる学び”として、大変貴重な経験になっています」



大判出力が必要な設計課題やプレゼンボード制作(中央)の際には、A1プリントまでできる大型コピー機(左)が大活躍。学生の制作環境を整えることが目的のTONKANでは、コピー代だけでなく、建築模型材料(右)なども、地域最安値クラスで購入できる。
建築の進化系学びの場
その伴奏者としてArchicadがある
大学という枠を超えて、自らの学びの場を学生たちで創出し、仲間と協力して技術と人脈を広げていく。
「TONKANに来たことで、建築好きの仲間と出会い、自分の中の“建築”の軸が明確になった」
「ここで得た人脈とスキルが、これからのキャリアを支えていく自信になった」
「ただの居場所ではなく、自分の可能性を広げてくれる“ハブ”のような場所」
TONKANの活動は、まさに「自走する学び」の実践。「教育と実務」「学びとキャリア」「個人とコミュニティ」がそれぞれ連携しながら、建築教育をより豊かなものに変えていっている。Archicadはその伴奏者だ。
TONKANは、建築学生らによる小さな革命の現場である。そしてその革命は、たしかに業界全体の未来にもつながっている。


建築が大好きな人が集まるこの場所では、建築の話が気兼ねなくできる。「自分の大学だけじゃ知れないことが、ここでは日常会話の中にある」。TONKANは、貴重な仲間と情報に出会える場所でもある。
グラフィソフトが提供する、建築・土木学生向け応援サービス
■ 教育プログラム
https://graphisoft.com/jp/academic/education
グラフィソフトでは、建築学を学ぶ学生および教員の皆さんの支援のため、無償でArchicadの教育版ライセンスを提供するなど、教育機関向け、学生や教員向けのプログラムを提供しています。
■ ヤングアーキテクト プログラム
https://graphisoft.com/jp/academic/yap
大学・専門学校を卒業後3年以内の新世代の建築家を支援するプログラム。Archicadサブスクリプションを20%オフ※で提供します。契約者は、本人または就職先の企業(事業主)どちらでも可能です。
※ 価格は2025年4月取材時のもの
Archicadの詳細情報はカタログをご覧ください
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